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ラスベガス紀行(Japanese)

 娘の結婚式出席を機に、カジノで有名なアメリカ・ラスベガスへの訪問の機会を得た。結婚式
出席がメインであったが、その前後の日にユタ州にあるザイオンとアリゾナ州にあるグランド・
キャニオンの両方の国立公園の観光もでき、小生の人生の中でも最高な旅となった。娘の晴
れ姿には感極まったが、幸せを祈りながら我が娘を新郎に託した。今回の旅にはもう一つ意
義あるものがあった。我家と息子夫婦が招待を受けていたのであったが、両家とも女性軍不
参加となり、私と息子(親子)の参加となり、期せずして親子旅行が実現、今まで余りお酒など
酌み交わす機会が少なかった親子が、この旅を通してワイン等を注ぎ合う光景を生み出すこと
ができ、楽しい旅行となった。また、祝辞を依頼され、結婚式招待客の中にはネイティブ・スピ
ーカーが何人かいたが、思い切って英語でスピーチをしてみた。自分で言うのは変であるが、
中々好評?だったようだ。Mr.May氏に"I respect you."と言われた時は、大変嬉しかった。
2012年7月5日(木)成田出発、7月10日(火)帰国と言うスケジュールで、親子3人が異国の地で
再会、娘の門出を祝福する記念すべき旅となった。

1.ラスベガスまでの長旅
 息子は第1ターミナルの待ち合わせ場所に遅れて到着。電車が遅れたとかで、少々焦ったが
事なきを得た。息子と海外旅行をするのは、今回が初めてである。息子は独立してサラリーマ
ンとなり、今や男の子2人の父親で、会社の仕事も大変忙しそうである。今回はようやく1週間
の休暇を取り、私との旅行が実現した。飛行機の席は、往復共旅行会社が隣り合わせの席を
確保しておいてくれたので、私は主に窓側で離着陸時の景色を楽しむことが出来た。厳しいボ
ディチェックを受けてようやく搭乗。デルタ航空DL284便は予定通り、7月5日(木)15:40成田空
港を離陸した。いよいよロサンゼルス空港まで約10時間の長旅の開始である。地球の自転に
乗りながら飛行機はひたすら東に飛行、暫くすると暗黒の夜に突入、そして少しウトウトした
後、窓を開けると翼の先に朝日が輝くのが見えたので、急いで写真に収めた。ロサンゼルス国
際空港に到着したのは、現地時間は09:40で、ここではまだ7月5日の午前中だ。ここでラスベ
ガス行の国内便に乗り換えなくてはならない。待ち時間は約2時間半あるので楽勝だ。入国審
査を受けて機内荷物を受け取り、乗換機への荷物の再預けをしなくてはならない。JTBの現地
係員がアテンドしてくれた。厳重なボディチェックの後、搭乗ゲート待合室で12:00発のDL4464
便を待った。日本との時差が-16時間というので、日本時間7月6日(金)08:00発ということにな
る。一回り小さな飛行機(DL4464)で、ラスベガス・マッキャラン国際空港まで飛行、午後1時10
分には到着した。JTBの係員がここでもアテンドしてくれて、無事ホテルサーカス・サーカスに
チェックインすることが出来た。「ラスベガス」と言う意味は、「オアシスの町」という意味だそう
で、正に砂漠の真ん中に高層ホテル群が建っており、太陽に反射し燦然と輝き、夜はけばけ
ばしいネオンで不夜城を演出する。ホテルその物がテーマパークとカジノで構成され、世界各
地からの観光客で溢れ、この世のパラダイスと言った感じである。シャワーを浴びてから、隣に
建つウインホテルにあるJTB推薦のビュッフェまで、埃っぽい灼熱の熱風(約45℃)の中、息子
と散歩がてら向かい、入口で写真を撮った後、そこで夕食を取った。ホテルに戻るや否や睡眠
不足と疲れが襲ってきて、ベッドに転げ込むように眠った。
2.ザイオン国立公園観光
 翌日朝午前6時のウェークアップコールで起き、特大の菓子パンと牛乳を食しながら、ホテル
正面で車を待つ。7時頃にはワンボックスカーの運転手が現れ、同乗者は日本人9名と言うこと
が分かった。ヴァージン川に沿って、車は北東方向へ走り続けること約3時間、ザイオン国立
公園の異様な山並みの中に建つ博物館に到着。ここからは、天井を通して岩山を見上げるこ
とが出来るシャトルバスに乗換える。自然の織り成す雄大な光景にただ目を見張るばかり、あ
れこれとカメラに収める。切り立った岸壁を頂く山々は、ロッククライマーの絶好の練習場所と
なるそうである。谷川に沿って遊歩道のある中継点で下車し、源流に向かって渓谷を歩く。可
愛いリスが道を横切って行くのに遭遇する。赤茶けた岩盤にかろうじてコケのような植物がへ
ばり付いている。白く見えるのは石灰岩で、赤く見えるのは鉄分が含まれているとかで、この微
妙な色合いが光の具合により、特異な光景を生み出している。砂岩の間から垂れている水
は、雨水が何万年もかけて滲み出てきたものだ、と聞いて気が遠くなりそうになった。何か異
様な匂いが鼻をつくので、ガイドに聞いたら砂岩独特の臭いだそうだ。珍しく途中雨が降り出
し、岩陰や木陰で雨宿りしながら、赤いパウダーの歩道を引き返す。ロッジにて昼食の弁当を
いただく。雨も止みそうにないので、他に寄らずに帰路に着く。車窓からは、乾燥した大地が果
てしなく広がっているのが見えた。暫く走った後、ようやくラスベガスのホテル群が忽然と現れ、
午後5時頃にはホテルに戻ることが出来た。シャワーを浴びた後、息子が中華街の一角にラー
メン屋があると調べてくれて、2人でタクシーで食べに出かけた。そこではアルコールを置いて
なかったので、ホテルに戻ってから2人でビールとワインで祝杯を挙げた。
3.結婚式に出席
 メインイベントの7月7日(土)を迎えた。午前11時、本日の出席者のBご夫妻が我々を車で迎
えに来てくれ、ホテルまで送って頂いて大変恐縮した。北イタリアのエレガンスが売り物の白亜
の殿堂「べラージオホテル」が式場である。湖のような巨大な池をバックに、イタリヤ風巨大建
築が威風堂々と建っている姿には圧倒される。しかも、この池には仕掛けがあり、無数の噴水
が音楽に合わせ上下左右にリズミカルに踊りだし、15分置き位に噴水ショーを演じるのだ。夜
ともなると、イルミネーションで尚一層美しさを増し、人の目を釘付けにする。そしてホテルの入
口は天井いっぱいに豪華な花ビラ状の明るい装飾品が飾られ、右側には色とりどりの花が咲
き誇っている植物園風のサンルームが見えるなど、正にゴージャスでエレガントな雰囲気が漂
っていた。式は24階のスイートルームを借り切って、娘は友人の協力を得て、チャペル風に仕
立てて挙式するという。娘のテキパキとした采配と多くの友人との交流を親として横で見てい
て、この広いアメリカで生きてきて「本当に逞しくなったなあー」と嬉しく且つ頼もしくも思えた。1
階のエレベーターの前にある結婚式サインボードで、午後5時より新郎Y氏と娘E子の式が執り
行われることを確認した。24階のスイートルームからは、周りのホテルや噴水ショウ、屋外プー
ル更には砂漠の向こうに浮かぶ山々が見えた。式は予定通り行われ、バージンロードをウエッ
ディングドレスに身を包んだ娘と腕を組んで歩いた。そして牧師さんの前で待つ新郎Y氏に娘
の幸せを託した。牧師さんの前での誓いの言葉、リングの交換、立会人の署名、花びらのシャ
ワー、ケーキカットそして乾杯と、一連の行事を無事終えることができた。これら全て自主運営
の手作りで行ったというところに価値がある。冒頭にも紹介したが、乾杯の前にスピーチを求
められ、ネーティブを前に思い切って祝辞を下手な英語で試みた。幸い、内容も理解されたよ
うで、アメリカ人のMr.May氏に"I respect you" と言われた時は、嬉しかったし、私にとっても良
い経験になった。夕食会は1階ビュッヘの一角で行われ、新郎新婦と礼服姿で移動、1階のカ
ジノを通過する時は、特に花嫁は皆の注目の的となり、映画の主人公になったようで、親として
も晴れ晴れしい気分になった。今後とも新郎新婦お二人の幸せをただただ祈るばかりである。
4.グランドキャニオン・ウエストリムへの観光
    睡眠時間も何のその、朝5時には起床し、グランドキャニオン行きのワンボックスカーを待
つ。6:00には運転手がホテル前に現れ、息子と二人で乗り込む。途中Y氏とE子そしてY氏の義
弟A氏を各ホテルでピックアップして我が親戚一行5名のメンバーが揃った。車はラスベガスを
抜け、木一つない殺風景な荒原の中を東方へひたすら走る。途中灌漑用のフーバーダムを横
に見ながら山岳地帯に入る。シャボテン状の植物が現れ、風景が少し変わってきた。道路も急
に舗装道路から砂利道になり、約30分間はもうもうと砂煙の中を突き進まねばならなかった。
聞くところによると、近くに牧場があり、オーナーが舗装道路を許可しないとのことであった。悪
路の後ようやく舗装道路に変わり、気分も爽快となる。やがてヘリコプター等の発着地点に到
着、ドーム型民芸店でお土産を買う。ここからはシャトルバスに乗り換え、先住民ワラバイ族居
留地にあるウエストリムに向かう。イーグルポイントで下車し、ワシが羽を広げたように見える
岩を目の前にする。直ぐ足元には深い谷間が広がり、コロラド川も見えた。柵も手摺も何もな
いので少しでもバランスを崩すと、谷間に転落する危険がある。"Safety is your responsibility"
と至る所に書いてある。「自分の責任で行動しなさい」とは、日本と違うところだ。雄大な光景を
カメラに収めた。左手には有名なガラスの橋スカイウォークがある。2007年に建設されたそう
で、馬蹄状の橋が絶壁から谷に約20mせり出し、1,200m下の谷間がガラスを通して見渡せた。
正にスリル満点の一大スペクタクルを満喫し、プロに写真を撮ってもらった。恐怖の体験をした
後は、原住民の住居など見て回った。次にバスでグアノポイントへ移動。雄大なパノラマが広
がるレストランで景観を眺めながらの昼食は格別であった。その後、遊歩道を歩いて隣にある
小高い展望台を目指す。急な坂道を登り親子で最高地点に到着、緑色に変色して見える大キ
ャニオンが広がって見え、谷間を遊覧するヘリコプターが眼下に小さく見えた。そこを降り、少
し下ったところに、昔コウモリの糞(グアノ、化粧品などに利用)を採取していた跡地(リフト)が
あった。バスに戻る途中、ガイドさんが足元を指差しアンモナイトの化石を発見、大昔ここは海
の底で、その後隆起したのだと説明した。この壮大な光景と経験をしっかり目と脳裏に焼き付
けて帰途に着いた。夕方までにはホテルに戻ることが出来たので、ゆっくりとシャワーを浴び
た。イタリアのテーマパークホテル・シーザーズパレスにある寿司レストランで晩餐会を開いてく
れるというので、息子とタクシーで出かけた。そこは、正にイタリアの町を再現したテーマパーク
で、至る所に芸術的な石像が立ち並び、天井は青い空と白い雲が描かれており、夜とは思え
ない不夜城を映し出していた。2階にあるレストラン入口をようやく探し当て、そこで親戚全員6
名が揃った。その後の晩餐会は、盛り上がったことは言うまでもない。
 5.さようならアメリカ
 もう暦は7月9日(月)、帰国の日を迎えていた。朝6時にJTBが迎えに来るので、5時には起床
した。前と同じ女子係員が空港までアテンドしてくれた。マッキャラン国際空港まで車で約30
分、今度はシャトル電車でターミナルへ向かう。チェックインを済ませた後、息子と簡単な朝食
を取る。08:45、我々を乗せたDL4818便はロサンゼルスへ向けて出発、09:53には到着した。約
3時間の待ち時間の後、13:00には予定通りDL283便は成田に向けて離陸した。広いアメリカ大
陸を下に見ながら「さよならアメリカ」「二人の前途に幸せあれ!」と心の中で祈った。(完)
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